INTERVIEW


キャスト、スタッフ、 それぞれの力を最大化し、
自分の想像を超える
舞台作品をつくりあげる。
公演事業本部
ファクトリー部
飛田 弥咲 | 2020年入社
医学研究科
PROFILE
これまでの経歴
2020年〜 公演事業本部 ファクトリー部
今の仕事
舞台作品のプロデュース
CHAPTER 01
人々に感動をもたらす、
素晴らしい舞台作品を
自らの手で
生み出したくて。
異業種からの転職で、ホリプロを選んだ理由を
教えてください。
子どもの頃から舞台を観るのが好きでしたが、新卒での就職活動時はそうした分野で自分が働いている姿は想像できなくて……。それよりもビジネス分野に携わりたいと考え、大学での学びを活かせる総合シンクタンクに入社しました。しかしその後、趣味で観劇をする中で、ホリプロ制作の舞台『海辺のカフカ』やミュージカル『メリー・ポピンズ』に出合い、心に染み入るような感動を覚えて、舞台への思いが再燃。その時、このような作品を自分がつくれたら、どんなに幸せだろうと思ったのです。そして迷うことなくホリプロへの入社を決めました。
入社当初は
どのように仕事を
覚えていきましたか?
入社後、初めて制作スタッフとして参加したのは、ミュージカル『ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~』。キャストだけで約60人、スタッフも合わせると120人近くが毎日劇場を出入りする大規模なカンパニーに携わることになりました。右も左もわからない私は、先輩や上司から言われたことをやりながら奔走する日々。稽古場の進行、ケータリングの手配、キャストやスタッフたちからの質問への対応やケアなど、数限りない業務に取り組みながら、舞台制作の全体像をつかんでいきました。そしてその後も、さまざまな規模、タイプの作品に制作スタッフとして関わり、その都度、先輩や上司に多くのことを教えていただきました。
その後、
成長の転機となった出来事は?
舞台『ハリーポッターと呪いの子』の2022年開幕に先立って立ち上がった宣伝・マーケティングチームにジョインしたことです。ともに主催するテレビ局と打ち合わせを重ねて、パブリシティの戦略を立てて実践したり、オウンドメディアを運用したり。そうした中で学び取ったことは、今、公演プロデューサーを務める上での糧になっています。というのも、プロデューサーの最も重要な役割は、お客様に楽しんでいただけるハイクオリティな作品をつくりつつ、かつ収益もしっかり上げる、そのバランスを最適な形でとることであり、それを実現するには、宣伝・マーケティングの知見も必要となるからです。
CHAPTER 02
キャスト、
スタッフの方々と
手を携えて、
苦労を共にし、
舞台作品を
つくりあげていく喜び。
現在務めている
公演プロデューサーの
役割を教えてください。
ミュージカルや舞台の企画進行、宣伝から稽古・上演までのすべてに関わる仕事です。キャストやスタッフがより良い作品づくりができるよう環境を整えながら、作品のクオリティと予算を管理し、利益を上げることがシアタープロデューサーの役割となります。最初から最後まで、キャスト、スタッフ、演出家など多くの仲間たちと協業しながら、作品と一緒に伴走していく仕事だと思っています。
印象に残っている仕事は?
プロデューサーとして初めて、ブロードウェイミュージカル『ピーター・パン』を上演したことです。1981年に日本で初演以来、再演を続けているホリプロの大事な作品に携われることにいやが上にも胸が高鳴りました。そんな中、直面した大きなハードルは、新演出・新ピーター・パンのお披露目で、作品を立ち上げるための準備をしなければならないことでした。脚本と音楽は同じでも、演出家が変われば、表現が変わり、美術も衣裳も変わります。わからないことばかりでしたが、歴代プロデューサーの先輩方に相談したり、部署を越えて力をお借りしたり、また、優秀なスタッフの方々に支えていただきながら、なんとか初日へ。苦労が多かった分、終演後の子どもたちの歓声と拍手に心から感動しました。
これまでで
いちばん手応えを
感じた仕事は?
2025年に上演した舞台『リンス・リピート』です。題材を決めて座組が整うまでは暗中模索でしたが、いざ稽古に入ると、キャスト、スタッフがお互いをリスペクトしつつ、フラットな空気感の中、意見やアイデアを出し合って、作品をつくりあげていくことができました。そうして初日を迎えた時、プロデューサーとして自分が思い描いていた演出、芝居、戯曲の力をはるかに超えた作品に仕上がっているのを目の当たりにして……。キャスト、スタッフそれぞれの力を最大限発揮しやすい環境を整え、その力を一つにすることで、自分の想像以上の舞台作品が生まれる。これこそプロデューサー冥利に尽きると思い、喜びを噛み締めました。
CHAPTER 03
夢は、自らの企画で、
オリジナルの
舞台作品をつくり、
海外で上演すること。
ホリプロで
舞台を制作する魅力を、
どのように捉えていますか?
まだ誰も知らない無名の人を、時間をかけてスターにしていく。そういう芸能プロダクションとしてのエッセンスが舞台制作にも宿っています。例えば、知名度がなくても実力があり、原石のような輝きをもっている俳優にお声がけしたり。舞台を通して、俳優としてどんどん成長し、大きく羽ばたいていただきたいですし、「またお仕事を一緒にできるように」という気持ちを常に持っています。それはスタッフも同じで、ベテランばかりではなく将来有望な若手とご一緒することも。このように、舞台をつくる仲間たちと一緒に挑戦し、成長していく姿勢で取り組むことができるのが魅力です。
これからホリプロで
挑戦したいことを
教えてください。
今は国内での仕事が大半ですが、いずれは海外で作品を上演したいと考えています。理想は、自らの企画でオリジナルの舞台をつくって、海外にライセンスアウトすること。その目標に向けて、さまざまな演劇はもちろんダンス公演、映画、小説や美術展などあらゆるジャンルの作品を観まくっていますし、その中でつくり手をどんどん探しにいきたいと思っています。「この人といつか一緒に仕事ができたらいいな」などと考えを巡らすのは私にとってワクワクすること。まさに趣味と実益をかねている感じです。